岩手県歯科医師会会長
佐藤保
お口の健康に目を向ける
歯の病気といえば、むし歯と歯周病でした。むし歯についてみると、昭和50年代半ばには、小学校、中学校、高校のほぼすべての児童生徒がむし歯を経験していましたが、だんだんと減少してきました。最近では保育園では3分の1に、小学生も半分以下になっています。一方の歯周病は、60歳ぐらいまでは減少傾向にあるものの、それ以上の年齢では増加傾向です。今後の高齢社会では歯周病に加えて、歯・口腔の機能の維持が重要です。
我が国は人生100年時代を迎えたと言います。間違いなくお元気な高齢者の方々は増えています。これからは、もっと歯やお口の機能そのものに目を向けて欲しいと思います。全身の健康と口腔の健康が大きく関連することが知られてきました。口腔の清潔にすることで誤嚥性肺炎を予防できること、歯の喪失が認知症と関係すること、また、歯周病と糖尿病の関連があることなど、今後も多くの研究によって明らかになるものと思います。
皆さんも、もう一度お口の健康に目を向けて、美味しく食べる、なんでも食べられる、楽しく話す、といったお口の機能を大事にして下さい。私たち歯科医は歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手など歯科保健医療の多くの関係者とチームで、皆さんの健康作りにお手伝いいたします。