香取幸夫
東北大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野教授

いつまでも楽しく、美味しく食べるために

日本では平均寿命が男女ともに80歳を超えて久しく、高齢者がいつまでも健康に過ごすこと、すなわち健康寿命の延伸が喫緊の課題となっています。そのようななか、日本では食べるための体の働きが低下している高齢者が1,100万人になると推定されており、誤嚥(ごえん)による肺炎や窒息の危険を避けて、美味しく食事を続けることが重要になっています。

よく食べること、肺炎を防ぐためには、口の健康や呼吸の力を保つことに加えて、のど(ごっくん)のはたらきが大切です。皆さん、首を前から触ると中央にコロコロとした高まりを触れると思います。この高まりはのどの軟骨ですが、「ごっくん」と、つばなどを飲み込むと上の方に動くことがわかります。この動きの瞬間に食べ物や液体がのどから食道へと飲み込まれていきます。のどの動きを良くするために、日常からしっかりとした声で「よく話す」、「よく歌う」ことが勧められます。また治療としてはリハビリテーション科や耳鼻咽喉科の医師が自宅で可能な訓練法などを紹介しています。

口、のど、呼吸の働きをよくして、いつまでも安全に美味しく食事が続けていきましょう。







Kuchino Kenkoto Taberu Chikarawo Sasaerukai