奈良県歯科医師会会長
末瀬一彦

2023.6.19
口腔と全身の健康に関して科学的な裏付けが報告され、お口の中の残存歯数と転倒リスク、要介護認定度、認知症のリスクあるいは歯周病と糖尿病、心疾患、誤嚥性肺炎、低体重児出産などとの関係が明らかにされてきました。一方では、「8020運動」(80歳で自分の歯を20本以上残す運動)の啓蒙が高まっていますが、60歳で15本しか残存していない人や80歳ですでにまったく歯のない人には関心のないところです。奈良県歯科医師会では、さらに発展させ「9028運動」を推奨しています。90歳(長寿)でもお口の中に自分の歯+人工の歯を合わせて28本(人の正常な歯数)を保ち、きれいな歯並びでしっかりと食事ができるお口の環境つくりの運動です。そのためには歯科医院での「歯科健診」で自分のお口の中の状況を常に把握しておくことが大切です。乳幼児期(1.6歳および3歳児健診)から学童期(高校生まで)は義務的に歯科健診が行われていますが、高校卒業以降の生産者世代、妊産婦健診や歯周病健診、高齢者の節目健診などは任意であり、歯科健診の受診率は低くなっています。奈良県歯科医師会では県民の歯科健診、歯科治療、口腔ケアのための受診率向上をめざして、「かかりつけ歯科医院」の機能を充実させ、県民の皆さんのお口の健康サポーターとしてのミッションを果たしてまいります。