柳沢幸江
和洋女子大学家政学部健康栄養学科教授
「おいしく食べる」を生涯続けるために
長年、栄養学・調理学の視点からおいしく食べる事を研究してきました。おいしく食べるためには、食べ物の事だけでなく、食べる人の事、そしてそれらを取り巻く環境の事の理解が必要です。そしておいしく食べるためには、自分の口で食べ物を噛んで味わって食べることが不可欠です。
私たちは、生まれたその日から、生きている限り、食べるとこを続けます。食べ物を自分の目で見て、口で味わって、自分の持つ感覚をすべて使って、食べています。それは、単に栄養素を体の中に入れる営みではありません。口から食べることで、楽しく、おいしく食べることができます。喜びをもって、生きていることを自覚できます。
つまり、おいしく食べるためには、口から食べる力を維持できることが必要です。もちろんそれが難しくなった時は、別の手段で食べ物や栄養成分を体の中に取り入れることができますが、その場合は味わうことは出来ません。
毎日の食事を通じて、改めて口から食べる事の大切さに気付いていただければと願っています。
Kuchino Kenkoto Taberu Chikarawo Sasaerukai