矢澤正人
医療法人永寿会陵北病院歯科
一般社団法人日本在宅ケアアライアンス
社会歯科学会理事
元・新宿区健康部参事
歯学博士
最期まで口から食べられるまちづくりを目指して
私は、現役時代の37年間、保健所歯科医として公衆衛生活動をしてきました。昭和61年頃、杉並区で保健師さんに初めて連れて行っていただいたお宅でお会いした要介護高齢者の方は、食事をすり鉢ですってもらって食べておられました。
時を経て、都の保健所で仕事をしている頃、今度は、摂食嚥下機能に問題がある高齢者・障害者のために、多職種で協力して最期まで口から食べられるためのまちづくりをしていこうという取り組みを始めました。これには、多くの医師・歯科医師を始め、看護師、歯科衛生士、栄養士、言語聴覚士、ケアマネジャーの方たちが参加してくれました。さらに、時は過ぎ、新宿区の保健所で、ごっくんプロジェクトという愛称の活動を進めた時は、区民の方たちと、「新宿ごっくん体操」という口の機能を衰えさせないための歌と体操を協働して制作しました。そして、ごっくんリーダーという地域のボランティアの方たちが、その歌と体操を広めてくださいました。
これらの一連の取り組みは、人が最期まで自分の口で美味しく、安全に食事が摂れることがとても価値があり、そのためには多くの人たちの協力が必要なことを表しています。日本中、どこに住んでいても、ちょっと相談をすれば、専門家や地域の方々がサポートしてくれる、そんな社会を作っていきたいと念願しています。
Kuchino Kenkoto Taberu Chikarawo Sasaerukai